観てきた。

吉沢亮、横山流星の所作、姿勢、視線まで素晴らしく美しかった。こんな身につくものなんですかね。
感情がぐわんぐわん揺さぶられ、心がギュッとする感情の起伏が何度も訪れた。
吉沢亮側(菊坊)流星側(しゅん坊)の感情をいったりきたり。しゅん坊のオカンにまでも感情移入してしまった。
世襲の名前は当たり前に我が子にと思うし、我が子より芸の立つ部屋子に夫が勝手に継がせちまって。夫や周りの男どもにそれはそれは行き場のない苛立ちを覚えたろう。渡辺健も死に際は我が子の名前呼ぶし、振り回される吉沢亮哀しすぎた。
そんな母をはじめとし、吉沢亮に結婚しようと言われるも首を縦に振らずあなたはこれからの人、あなたのために劇場をたてるわ、みんなあなたにみんなうっとりするのと言い、最終的には流星と結婚する同郷の彼女、春江。
あなたの2番、3番でもいいから予約ね!と言い、子をこさえてほったらかされる芸妓おなご、役を取るために取り入られた大御所の娘の健気な生き方、芸の世界まわりで生きる女達の生き方よ…、普通じゃないぞ?
もし、春江とすんなり結婚できていたらばどうなっていたのだろうか。国宝にはなってなかったろう。
元国宝万菊が役の女になりきるよう指導していたが、役にはなれても女のほんとの気持ちは到底わからんだろうな。
悪魔にお願いして歌舞伎が日本一うまくなるように、それ以外何もいらない。と、自分の子供の前で言ってしまっていたのはもうまんまなかなかの悪魔み。
子供的には私は?と言いたくならんだろうか。
さすがあくまさんに魂売ってる。結局最後は流星も渡辺謙と同じ糖尿病で死ぬって皮肉。芸の世襲でお家の血だ血だいってたのにね。
実娘に周りの人を傷つけてばかり、自分の事ばかりだと言われていたけど、血筋というどうにもならないものに幾度となく傷つけられ翻弄されて。
人間国宝指定された時のインタビューでは順風満帆に国宝になられたと言われてたが、否定しなかった。わましならいや!めっちゃ大変だったがな!って言いたくなる。美しい化け物(最初に万菊をみた吉沢亮がいってたやつ)はこうしてできあがるのだな。これぞ役者。
渡辺謙の代役、震えながらしつかり全うしての(流星に先祖に守られてるお前の血が羨ましい、欲しい!がぶ飲みしたい!って泣きながら訴える中、流星が化粧してあげる姿は泣けた)からのとても順風満帆とは到底言えない人生なのにすずやかな顔。
元国宝万菊が最後に吉沢亮を呼んだ際、質素な場所で床に伏していたが、綺麗なものがなくなって、もういいんだよと言われている気がしてホッとしてると言っていた。
最後の最後のシーン吉沢亮が綺麗だな、といって終わったが。きっと吉沢亮も人生を閉じる時同じような最後を迎えホッとするのかな。
いつも見られてるって誰に見られてたんだろう。先祖か?お客さんか?
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大人になっての2人はもちろんだけど、青年期の子役が美しすぎて、もう眼福もいいところ。これは、歌舞伎がキャアキャア言われるわけだ。いやー美しい。男の子にこんなに素敵って思った事ないかも。稽古風景もそうだけど、学ランで桜の木下をチャリでこいでいくシーン彼らのみずみずしい美しさは何なんだい。
3時間でトイレ心配だったけど、あっちゅうま。
歌舞伎は何度か観たけど、退屈に感じた(すみません)映画ゆえに画面で見どころのアップなど、緩急がついていて、表情やしぐさがしっかり観れると息を呑むように引き込まれた。歌舞伎はもっとドアップで観れたら観る人が増えるのではないか。オペラグラスしたって観れる限界があんよ。
うちの母が日舞で踊ってた藤娘とか道成寺とか出てきてちょっとしってるーってなったのも面白いかったな。エンディングの曲、この映画に合う曲…あれは井口君以外作れないやつ。
いいもん見れました。